ジェット・リーが贈る父と子の絆の物語

アクションを封印し、新境地に挑んだジェット・リーの名演技に注目

父とこの絆を描いた傑作

「ロミオ・マスト・ダイ」、「ダニー・ザ・ドッグ」、「エクスペンダブルズ」などの数々の大ヒット映画に出演している世界的なアクション俳優、ジェット・リーが、その脚本に惚れこみ、ノーヒーロー・ノーアクション・ノーギャラをでの出演を熱望。

自閉症の息子を持つ余命僅かな父親という難しい役に挑んだ感動のヒューマンドラマ。自分を上手く表現できない自閉症の息子を中国の注目若手俳優ウェン・ジャンが熱演し、本作で上海国際映画祭メディア賞部門主演男優賞を受賞(2010年)している。

監督は日本でもヒットを記録した「北京ヴァイオリン」や「北京の恋―四郎探母」で脚本を担当したシュエ・シャオルー、撮影はウォン・カーワイ作品で知られるクリストファー・ドイル、音楽は日本が誇る久石譲と、国際色豊かなスタッフが集結。

エンディング曲は台湾の人気アーティスト・俳優のジェイ・チョウが、「Say Goodbye」を提供している。絶望の淵から這いあがろうとする父子を時には悲しく、時にはユーモラスを交えて描いた本作は見るものを優しい気持ちにさせてくれる。文部科学省選定作品。

物語の舞台は中国の青島(チンタオ)―。14年前に妻(カオ・ユアンユアン)に先立たれた水族館員のワン・シンチョン(ジェット・リー)は、自閉症と重度の知的障害があり、一人では日常生活が困難な息子のターフー(ウェン・ジャン)を男手ひとつで育て、二人で慎ましく生活してきた。そんなある日、シンチョンは医師から自分ががんに侵されており、余命幾ばくもないことを宣告されてしまう。

父親である自分の介助なしに、息子はこれからどうやって生きていくのか…。息子の将来を悲観したシンチョンは息子のターフーと海に飛び込んで心中を図ろうとする。しかし、泳ぎが得意な2人でターフーは足かせを自ら解いて悠々と水面へ上がっていく。二人の向かいに住み、雑貨店を営んでいるチャイ(ジュー・ユアンユアン)は、シンチョン父子の切羽詰った事情を知らず、帰宅した彼らをを温かく迎えるだった。

息子には息子の人生があり、父親の自分が生きている間に何を教えてやれるのかが大切であると考え直したシンチョンは、海に飛び込んで死のうとしたことを猛省する。そして、毎日の水族館の仕事の合間を縫って、自分の死後に息子を預かってくれる施設を探し始める。同時に、日常生活の基本的な作業など、ターフーが一人でで生きていくために必要なことを、ひとつひとつ丁寧に教えていくのだった…。

一方、チャイは、父子の留守中にシンチョンの主治医が訪ねてきたことから、シンチョンががんで余命わずかなこと、そしてターフーと一緒に海で死のうとしたことをを初めて知らされる。かねてからシンチョンに想いを寄せていた彼女は、彼の力になろうと決意する。幼少時のターフーが世話になった養護学校の校長リウ(イェン・ミンチュー)も二人の事情を知り、自分の病を圧してでも、ターフーの新しい生活の場所を探してくれる。その甲斐あり、ターフーを受け入れてくれる施設がなんとか見つかった。

シンチョンはこの施設で自分の命が尽きる最期の日まで、息子と暮らすことを決意する。一方、父親のサポートのおかげでターフーは、自分一人でで着替えたり、バスに乗ったり、卵焼きを作ったり、水族館の掃除もこなせるようにまでなっていた。そして、水族館を巡業で訪れていたサーカス団の女ピエロ・リンリン(グイ・ルンメイ)と親しくなり、ほのかな恋心を寄せるようになる。病が進行し、死期が間近に迫ったシンチョンだが、息子に伝えるべきあることが残されていた…。